東北アジアの武力紛争危機に対する ピースモモの早期警報

 いま東北アジアに必要なのは 

「競争」と「挑発」ではなく、「予防」と「調整」

2022年、地球上の人々は毎日のように戦争のニュースや戦争の脅威についてのニュースを耳にしました。2021年を通してロシアとウクライナおよびアメリカを含む西側との間での軍事的緊張とともに、アメリカと中国の対立が深まるのを見続けました。ロシアがウクライナに侵攻するという予告が響いても、ではその軍事衝突をどうやって予防するのかという声はほとんど聞こえませんでした。 


そして2022年2月、ロシアはウクライナに侵攻しました。国際社会はこの戦争の予防に無残にも失敗しました。ロシア・ウクライナ戦争は世界的な食糧危機とエネルギー危機をもたらしています。急激な物価上昇が続く中、経済的に脆弱な人々はさらに厳しい状況に追いやられ、限られた資源をめぐる競争はますます激しくなっています。このような資源競争は、政治的に不安定な社会においてはさらなる武力紛争の原因となります。 


2021年の1年のあいだに、世界195か国(国連基準、オブザーバー国家を除く)のうち少なくとも46か国が激しい武力紛争に見舞われました。2021年の1年のあいだに、アフガニスタンやイエメン、ミャンマーではそれぞれ1万人近い死者が発生しましたが、このようなニュースが国際社会でほとんど注目されていないのが現状です。世界の構図が大国間の対立という二分法的構図に飲み込まれているからです。 


ピースモモは昨年4月から、国際社会の情勢変化に注目し、朝鮮半島を含む東北アジアのすべての国が介入した軍事的対立が激化する可能性について声を発してきました。文在寅前政権は朝鮮半島平和プロセスを推し進めましたが、一方で前例のない軍備拡張を同時に進めました。尹錫悦政権はアメリカのインド太平洋戦略に積極的に協力し、東北アジアでの大国間対立の構図を固めています。


国家が主導する安保政策決定の過程に市民はほとんど介入できないと思われる現実においても、民主主義社会の構成員であり、気候危機を招いた人類の一構成員として、市民の責務ははっきりしています。この世界でさらなる戦争があってはならないということ、それを止めるためのあらゆる努力を尽くさねばならないということです。 


いま東北アジアでは、悪魔化、敵対化の言葉が膨らみ、戦争に備えた演習が続き、互いに対する不信感が蓄積されています。このように軍事的緊張が高まった状況では、ごくわずかなきっかけも大きな戦争の火種になりかねません。にもかかわらず、分断状況に慣れてしまった韓国社会は、この軍事的緊張を日常と受け止めているように思えます。 


この軍事的緊張をただ傍観することや、尹政権の敵対的な対北朝鮮政策と露骨な「自由民主主義」陣営化に対して沈黙することは、朝鮮半島だけでなくこの地域に軍事衝突を招く機会を与えてしまうことになるのです。 


アインシュタインのこのような言葉が思い出されます。 「世界は生きるには危険なところだ。邪悪な人々のせいではなく、悪に対して何もしない人々がいるからだ」(The world is a dangerous place to live; not because of the people who are evil, but because of the people who don't do anything about it.)


さらなる戦争を招きうるすべての行為に断固として立ち向かい、一緒に声を上げましょう。 

そのためには3つの前提が必要です。 


1、東北アジアの軍事衝突の危機を深刻な「危機」と認識し、紛争予防を最優先に考慮すること。 

2、「朝鮮半島の平和」を越え、東北アジアの軍事衝突の予防を同時に考慮すること。 

3、東北アジアの軍事的緊張は特定の国家の責任ではなく、すべての国家の責任であることを認めること。 


これらの問題意識を共有する人々は、各国の政府に次のような声を上げることができます。 


1、アメリカ・中国・韓国・北朝鮮・日本のすべての国が関与する東北アジアの軍事衝突を予防せよ。 

2、東北アジアの軍事衝突の予防を平和の第一議題にせよ。 

3、危険な軍拡競争と軍事力の誇示、敵対的発言を即時止めよ。 


 また、さらに行動を企画し、組織し、実行することもできます。 


1、東北アジアに地域的・国際的な多国間の紛争予防メカニズムを速やかに設立するよう、各国政府および国連に促す。 2、紛争予防、紛争予防メカニズムの設置、軍拡競争の終結、東北アジアの軍事力に対する国際的な監視を求める。

3、東北アジアの危機と軍拡競争が東北アジアのすべての国の共同責任であることを、各国政府が認めるよう促す。 


戦争のほかにも解決しなければならない問題が山積みである現実を直視しなければなりません。結局、世界を変えるのは、各政府を目覚めさせる市民としての自覚ある人々の力しかないということを心に刻み、敵対によって両方が倒れるのではなく、協力と調整によって共同の安全保障を作っていきましょう。 


今すぐにできる小さなことを提案します。 

何もしなければ、何も変わらないのですから。 


1、周囲のネットワークにこの文をシェアしてください。 

2、この危機に対するあなたの考えを周りに広めてください。 

3、この問題についての話をもっと続けたければ、以下のボタンをクリックして情報を残してください。 

「ピースモモ」と「ピースモモ平和/教育研究所(TEPI)」の活動

2022年11月16日:モモ平和大学_冬学期 セッション1(英語)

:東北アジアの情勢を分析し、武力紛争予防の方法を模索し、朝鮮半島中心の議題から東北アジアの地域対立へと議題を転換することを提案する。このための地域内の武力衝突についての早期警報システム、予防外交、市民主体の平和外交などの代案を提示する。 

2022年6月23日:ピースモモ スペシャルリビュー「共存の条件、平和の条件」

: ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の報告書「平和の環境:新しい危機時代の安保」をリビューし討論する。

2022年6月30日:TEPI定期セミナー「新しい政府、平和をつくる“力”の役割の模索」

: 尹錫悦政権発足以降の東北アジアの情勢変化、軍事安保・外交の地形の変化を詳しく探る。

2022年11月4日:定期セミナー「平和に向かう様々なルートを想像する」

:ピースモモおよびTEPIがともに実施した下半期の定期セミナーを通じて、日ごと高まる東北アジアの軍事的緊張のなか、平和活動をする人々が気候危機の及ぼす影響と軍事主義の繋がりを看過せず意義ある渦をつくっていく方法について話し合う。

2022年2月23日:ピースモモ ランチイシュー_issue「60分で見るウクライナ問題」

2022年11月23日:モモ平和大学_冬学期 セッション2(英語)

:気候危機の直接的な影響を取り上げ、気候危機と軍事主義の関係、軍事行動が気候に与える悪影響についての問題意識を喚起する。気候危機に対する問題意識が、日常にはびこる軍事行動に対する問題意識につながればこそ、気候問題の解決の可能性が高まる。

2022年6月27日:ラウンドテーブル「核と朝鮮半島、そして世界」

: 朝鮮半島の軍事的緊張が周辺国に及ぼす影響について取り上げ、戦争の可能性に備えるのではなく、軍事的緊張を緩和し平和の可能性を高める方法を模索する。

2022年9月13日~15日:第8回ウランバートル・プロセス

: ウランバートルで開かれた東北アジア市民社会対話プロセスに参加し、以下を提案した。▽「武力紛争予防のためのグローバル・パートナーシップ(GPPAC)」の最優先議題を東北アジアの軍事衝突の予防とすべき▽市民予防外交の必要性▽地域的・国際的な武力紛争予防メカニズムの設置など。

2022年11月22日:情勢分析討論会「軍事衝突の危機、予防のための模索」

:カトリック東北アジア平和研究所とTEPIが共同主催した情勢分析討論会を通じて、東北アジアで起きている軍事行動と軍備増強を批判的に検討し、武力紛争予防のための早期警報システムの必要性を議論、武力紛争予防に向けた市民社会の課題について話し合う。

2022年2月:ウクライナ事態に対する第1次声明書(英語・日本語あり)


2022年3月:ウクライナ事態に対する第2次声明書(英語・日本語あり)


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